今回は塾選びに関して少しお話しようと思います。
季節的には冬期講習が近付いて新聞の折り込みのチラシもたくさん入っている時期かと思います。そんな塾のチラシを見ていると「全員正社員」という事を大々的にアピールしている塾のチラシを目にすることがあると思いますが、今回は「全員正社員」は本当にウリになるのかという事について私自身の経験も踏まえてお話いたします。
塾を選ぶ際に重要視するポイントは人それぞれですが、「講師は全員正社員」は塾を選ぶ際のポイントとして果たしてどうなのか?最初にズバリぶっちゃけちゃいます。
まったく意味がありません。
私自身が過去に正社員として大手の学習塾に勤務しており、実際に「正社員」だからという理由で入塾を決められた保護者の方を多く見てきました。その理由としては
- 正社員だからコロコロ変わらずに自分の子を最後まで責任もって見てくれそう
- 正社員だからバイトとは責任感が違う
- 正社員だからきちんと教育されているのでバイトより教えるのが上手
- 正社員だからバイトより熱意があって安心できる
といった理由が多かったですし、実際の世間一般の印象っておおかたそんな感じなのかなと思います。でも、そんな一般的な常識がまったく通用しないのが学習塾というところなんです。
簡単に言うと塾の正社員というのはとんでもなく激務です。ブラックな業種として常に脚光を浴び続ける業界です。詳しくは以下の記事をご覧ください。
【関連記事】 |
で、とんでもなく激務なためとにかくすぐに離職してしまいます。
正社員として採用され生徒の前に立っても、残念ながら1年から2年程度でそのほとんどの教師が退職してしまうのが現実です。そうではない塾もわずかながら存在するようですが本当に少数だと思います。
だから、多くの保護者の方が望むような最後まで責任をもってきちんと一人の生徒を見るというような状況にはないのです。
教え方についてもそうです。
この部分はどんなにAI学習などが進化しても決してコンピュータにとってかわられることのない部分の一つだと私は思っていますが、それは一言で「教える」といっても相手になる子供によって一人一人違うからです。
まったく同じ問題を「教える」にしたって生徒全員に「同じ教え方」をしたって全然伝わりません。一人一人の様子を見ながら理解しているのかしていないのかを判断しつつ言葉の使い方を変えたり、説明のしかたを変えたりと工夫しながら教えないと伝わらないものです。
こいった事は、多くの生徒と試行錯誤しながら接していく中で次第に身についていくもので、いくら正社員だからといって数ヶ月研修した程度で身に着くものではありません。
多くの正社員教師はこういった事を身につける前にとりあえず生徒の前に立てる程度の研修を受けて配属され、そして早ければ数週間から数ヶ月で子供たちの前から姿を消していくのです。
そんな正社員たちが「教え方が上手」だと思いますか?
ちなみに検討中の塾さんの求人ページを見てください。
- 一年中求人している
- 教師の給与がやたら高額かやたら安い
こんな感じの求人をされている学習塾の正社員はかなりの確率で離職率が高いです。
まとめ
今回は「講師は全員正社員」がウリになるのかならないのかというお話でしたが、正社員だから駄目というお話ではありません。ようするに、教える講師がアルバイトだからとか正社員だからという表面的な事で塾を決めないほうがいいというお話です。
合わない塾に通う事ほど、時間とお金の無駄はありません。講師が全員正社員で、仮に他の100人の生徒が全員「いい」と言ったってその塾があなたのお子さんに合うとは限りません。それが塾です。
だからこそ、広告に踊る一見するとよく見えるキャッチコピーに惑わされずにご自分の足を運んで直接話を聞き、体験授業を受けてみるといいと思います。
その際にぜひ塾長に聞いてみてください「先生はみんな最後までうちの子を責任もって見てくれますか?」と、「おまかせください!」と即答した塾はやめときましょう。